私たちの哲学
Batta Craftは、時代を超えて愛される木工品を通じて、自然の美しさと日本の伝統技術を次世代へと繋ぎます。

物語と使命
Batta Craftの物語は、日本の豊かな森と、そこに息づく小さな生命体への深い敬意から始まりました。創業者である田中慎一は、伝統的な日本家屋の匠である祖父の背中を見て育ち、幼い頃から木材の温もりと職人の技に魅せられてきました。大学で建築を学んだ後、彼は日本の木工技術の奥深さに再び触れ、特に釘を使わずに木材を組み合わせる「木組み」の技術に感銘を受けました。
「Batta Craft」という名前は、その名の通り「バッタ」という昆虫から着想を得ています。バッタの洗練された構造、堅牢でありながら軽やかな造形、そして自然界の摂理に則った機能美。これらを木工品のデザインと構造に応用することで、私たちは自然界の究極のエンジニアリングを模倣し、機能性と芸術性を兼ね備えた作品を生み出しています。
私たちの使命は、単なる家具や装飾品を制作することに留まりません。それぞれの作品が、持ち主の人生に寄り添い、世代から世代へと受け継がれる「機能する芸術品」となること。自然素材への感謝と、持続可能なものづくりへの責任。そして、伝統技術を現代のライフスタイルに調和させ、新たな価値を創造し続けることがBatta Craftの根幹を成しています。
伝統技術へのこだわり
組子とは、薄く削られた木材を互いに組み合わせて幾何学的な文様を作り出す、日本独自の伝統的な木工技術です。この技術は、釘や接着剤を一切使用せず、木材が持つ性質と精密な加工だけで成り立っています。Batta Craftでは、単純な麻の葉文様から複雑な亀甲文様まで、様々な組子細工を家具の扉や衝立、照明器具のデザインに取り入れています。
組子細工は、単なる装飾ではなく、光を柔らかく透過させたり、風の流れを制御したりと、機能的な役割も果たします。一つ一つの木片が持つ表情を読み解き、微細な角度調整と寸分の狂いもない接合を可能にするのは、長年の経験に裏打ちされた職人の高度な技術と集中力の賜物です。

木組みは、日本建築において長年培われてきた、木材同士を組み合わせる接合技術の総称です。これもまた、釘や金物を使わず、木の凹凸を緻密に加工して互いに噛み合わせることで、強度と耐久性のある構造を生み出します。地震の多い日本では、木材が持つしなやかさと、木組みによる構造の柔軟性が、建物を守る上で重要な役割を果たしてきました。
Batta Craftでは、この木組みの技術を家具制作に応用しています。例えば、棚の骨組みやテーブルの脚部など、高い強度と美しさが求められる箇所に木組みを採用することで、見た目の優雅さだけでなく、長期間にわたる使用に耐えうる堅牢な製品を作り上げています。継ぎ手一つ一つに込められた職人の知恵と技が、作品に魂を吹き込みます。

Batta Craftでは、使用する木材の選定に最も重きを置いています。国内外のサプライヤーと連携し、厳格な基準を満たした持続可能な森林から調達された木材のみを使用。それぞれの木が持つ個性(木目、色調、香り、硬さ)を最大限に活かすため、熟練の職人が一本一本、手触りでその「声」を聞き分けます。
私たちの作品は、単材を組み合わせることで生まれる美しさを追求します。木材を無駄にせず、小さな端材でさえも、製品の一部や次のインスピレーションの源として活用されます。自然への敬意と、限りある資源を大切にするという哲学が、Batta Craftのすべての工程に息づいています。

現代の木工には様々な機械が導入されていますが、Batta Craftでは伝統的な手工具が依然として不可欠な役割を担っています。鑿(のみ)、鉋(かんな)、鋸(のこぎり)といった手工具は、職人の手の延長であり、木材の微細な表情や堅さを直接感じ取りながら、機械では困難な繊細な加工を可能にします。
特に、継ぎ手や組子細工の最終的な仕上げにおいては、手工具による微調整が作品の品質を決定づけます。職人たちは、研ぎ澄まされた刃物と熟練の技で、木材に命を吹き込みます。これは単なる作業ではなく、木材と職人との対話のプロセスであり、Batta Craftの作品に深い温かみと独特の質感が生まれる理由です。
